アメリカで生まれ育つ子のジャパニーズ

一番の悩みは子どもの学習・・・日本語があふれるロサンゼルスでも、インターネットの発達で日本と時差のない学習が可能な時代になっても・・・

“異国”でのジャパニーズ学習の悩みは千差万別だということを身をもって痛感してきた最前線教師の合作の記録です。
お子さんのつまずき個所をご存じなら【目次:緑色のボタン】をクリックして具体的な対応を先行させてください。
『まだ漠然と…』という場合は、このまま読み続けてください。日本人が誤解しやすいテスト等にはリンクを貼っていますので正しい情報を参照してください。

ここでは、アメリカで生まれ育つ子が学ぶ日本語のことを『ジャパニーズ』と呼び、日本へ帰国する一時滞米者を対象とした日本語補習と区別しています。

ジャパニーズ学習といっても、
目で見たものを頭に焼き付けるタイプ,耳からの音や発する声で身につけるタイプ,論理的に組み立てて納得するタイプ…と、その身につけ方はひとりひとり違います。習得の好みや得手/不得手も異なります。

複数の児童を対象とする一斉授業(学校形式)と個人授業(Tutoring)のそれぞれに長所と短所があり、◎◎ちゃんにベストの教室が▲▽君には最悪ということもありますので、『より良いbetter』な学習の形を探すしかありませんが・・・

 文字表記も文法も英語とは大きく異なるジャパニーズ学習を、アメリカで生まれ育つ子らに「楽しい!」,「ジャパニーズを勉強して良かった。」と思わせるにはどうすればいいかを探しましょう。 

『最小の負担で効果的なジャパニーズ学習方法は?』と、試行錯誤の子育て体験の結果・・・

大切なのは“基本の木”を育てること・・・だといえます。 

「基」きく力

「本」『ほんとうかな?』
  『自分で確かめよう』という探求心

「の」『のびる』という自信

 「木」根を張り枝を伸ばす木

 「基」 きく力は、とにかく日本語をたくさん聞くことで身につきます。日本語の聞く力が弱いというお子さんは、これまで耳にしてきた日本語の絶対量が少ないということです。まずは、おうちの方が日本語の本を読み聞かせてください。ドライブ中の音楽を日本語の童謡に変えるだけでも違いがあらわれます。

とにかく、お子さんに意識的に日本語を聞かせることをお勧めします。

「本」 ここでお話するのは日本語に対する好奇心・探究心を育てるにはどうすれば良いかということです。

子供たちが楽しめる環境にいられることです。『日本語学校へ行くのが楽しい。』とか『あの先生と一緒にいるといろんなことが習える。』などの気持ちは学習環境や人間関係に左右されがちです。

勉強しに行く場所にうさぎがいたり、畑があったり、公園のような遊び場があったらそれだけで楽しいと思いませんか?

「の」 伸びるという自信を育てるにはご家庭の支援が不可欠です。毎週土曜日の数時間だけで、ジャパニーズが習得できるなんて夢のようなことはありません。語学学習はスポーツや音楽と同じように、毎日、学習してこそ、結果がでます。毎日、日本語の歌を聞く,日本語の本を読む,日本語を書く,日本語を話す。これらを続けることによって、子供たちのジャパニーズの力は伸びます。それには、毎日の家庭学習がとても大切です。

 「木」 最後の根をはり、枝を伸ばす木の“木”はアメリカで生まれ育つ子どもたちのことです。子供は無限の可能性を持っています。それらを伸ばし、育てるのが私たち大人の役目です。

分かりにくい点は土曜クラスの教師に直接お尋ねください。



Q: 具体的なジャパニーズ学習は?

A: 義務教育の終了を目標に【目次】をクリックしてください。

ハイスクールでのジャパニーズ

日本で「義務教育」と言えば「あたりまえ」=「有り難味がない」という感じですが、アメリカの義務教育はその後の収入を大きく左右します。州や人種によって異なりますが『義務教育』であるハイスクールの卒業率は低く、日本の『義務教育』とはかなり異なります。

 

Freshman(9年生)から受ける授業は生徒が自分で選択します。例えば、大学に進学するか。卒業するだけか。で取る授業は違ってきます。更に、UC系、CSU系、IVYLEAG,その他の私立と目指す大学によっても少しずつ違います。自分のターゲットがどこなのか早い段階でわかっている生徒とそうでない生徒で大きく差が開きます。

 

ハイスクールでは、1年に1度10月に行われるPreliminary SAT/National Merit Scholarship Qualifying Test (PSAT/NMSQT) のファイナリストに選ばれる(Juniorから選出)など、学校の名声を高める生徒は優遇されます。コンペティションやアクティビティーの誘いは、英語や数学の上のクラス“Honors class”や”AP クラス(Advanced Placementカレッジレベルの授業)“の生徒から優先的に選出されます。

 

『できる生徒はさらに磨き上げる』という不平等なシステムです。例えば、Algebraの履修学年だけでも4学年分の開きが出るようなMathプランもあり、外れたコースからのAPコースへの参入は至難の業です。 何か1つでも他人と差がつくようなモノを持っていると確実にその子の自信になります。

 

Japaneseの評価に関していえば、SATII Japanese Listening(ハイスクールの外国語の成果を問うテストで聞き取りあり)とAP Japanese(大学1年生のレベルの外国語力を問うテストで、ハイスクールにこの枠が無くても個人の手続きで受験可能)が9年生以上で受験可能な全米共通のテストです。このテストで出た成績は大学の願書を提出する際に書くことができるだけでなく、ハイスクールによっては語学授業のクレジットにもなります。

 

当こどもの家土曜日本語学校では、小3までの配当漢字を学習した生徒を対象に日本語と文化の理解を深めるコースを開設しています。

 

2014年度のSAT2(800点満点)では、こどもの家の生え抜きの9年生女子が750点,10年生男子が790点でした。二人以外の、9年生の受験生(5名)中、3名が700点を超えました。700点に届かなかったのは他校から1年前に転校してきた2名でした。

800点満点の90%以上を取るのが難しいSAT2で、最初に700点超えれば次からのSAT受験の自信につながります。年生でさっさと済ませるという案もありますし、学年が上がってから更なる高得点を狙うという案もあります。高校に入ったばかりの9年生が全く知らない学校(自分のハイスクールと異なるSAT2の試験会場)で受験する負担を考慮するとか、顔馴染みがいる試験会場を探すという配慮も大切でしょう。

 

さらに、SAT2とは比較にならない難しさのAP Japaneseを受けたこどもの家の生え抜きの(他校からの転校生を除く)受験生4名(Gさん,Nさん,Jくん,Iさん)が全員グレード5という最高の成績を収めました。これは幼児期からの日本語に対する一つ一つの積み重ねが生み出したすばらしい結果です。

そして、この結果こそが子供たちが身につけたジャパニーズの証です。


ここで使用している言葉の定義
※児童=小学生,生徒=中~高学生,学生=大学以上
※ジャパニーズ=日本への帰国者を対象とした日本語補習ではなく、アメリカで学び、その子の将来に役立つ日本語


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